chie’s blog

ピース又吉直樹さん関連のライブ・本・ラジオ・テレビ等のことについて、好き勝手に書いています。

又吉直樹主催 太宰ナイト(2018年の感想)

2009年から毎年桜桃忌に開催される「太宰ナイト」。11回目の今年も6月19日に渋谷無限大ホールにて開催される予定。

私は2018年に初めて行き、その日は興奮して眠れなかった程に面白かったので、今年も非常に楽しみにしている。

去年の「太宰ナイト2018」を思い返したい。毎年太宰の本何冊かを扱うことが多いようだけど、2018年は『人間失格』のみを扱い、木村綾子さんとフルーツポンチ村上さんをゲストに迎え、3人でひたすら『人間失格』について語る、というようなスタイルだった。因みに3人共同い年(1980年生まれ)。

始めに又吉さんが一人で登場し、PC片手に朗読。時間がなく紙にできなかったとのこと(どんだけ忙しい中開催してくれたんだありがたや)。朗読の内容を覚えてる限りで記す。

人間失格』について「僕は何回読んでもわからない 僕が阿保なのか 周りが天才過ぎるのか」当日の出来事について、禅林寺にお墓参りに行くと、『人間失格』を持ったおじさんに声を掛けられ、「世界一地味なフリースタイルバトルが始まるのかと思った」。おじさんに「葉蔵は死んだの?」と聞かれ、「死んだとは書かれてないですね」と言うと、「え~」と言われ、「良かった。僕だけが読めてないわけじゃなかった」と。その後の内容は覚えてないけど、途中言葉に詰まるように見えた時があった。

ゲストのお二人を呼び紹介した後にオープニング映像が流れた。音楽は凛として時雨の夕景。とてもカッコ良かった。YouTubeにあったので載せておきます。聴くとあの時の感情思い出して興奮する。

Rin Toshite Shigure - TK in the Yuukei (夕景 ; Evening Scenery) - YouTube

木村綾子さんが、事前に配られた冊子を用いあらすじや登場人物について説明し、その後、3人ではしがき、第一、第二、第三の手記、あとがきと順にひたすら語り合っていた。

はっきりとは全て覚えてないが、印象的だった又吉さんのお話を記しておきたい。

  • 人間失格』の大きなテーマの一つが、それぞれの痛みの話。(ゴロウデラックスでも語っていたな)
  • 今の僕にとって(というより2015年くらいからずっと)1番重要な部分は「あまりに人間を恐怖している人たちは、かえって、もっともっと、おそろしい妖怪を確実にこの眼で見たいと願望するに到る心理、・・・」
  • 人間失格』イコール「お化けの絵」なんじゃないか
  • 「弱虫は、幸福をさえおそれるものです。」という部分について共感。サッカーの試合の時母親だけには見られたくない。一番弱みを見せられる母親が居るのが見えると力が抜ける。もうあかんてなる。幸福が怖い。
  • 銀座のすし屋のおやじの部分について。メートル単位じゃなくミリ単位の感覚を拾わされる。太宰はそういう感覚も持っているということがわかる。他の小説と違う。ベストアルバムとして読む人もいるけど違う。
  • 自分の居場所を見つけ続けて見つけられなかった、世の中とのつながりがわからない
  • 幼少期に性的な虐待を受けている。その傷をどう癒しているのか
  • 太宰は最初の妻初代に浮気されていたので、初代の気持ちを救おうとしてるとも読める
  • あとがきに昭和5~7年とわざわざ書いてる(戦争が酷くなる前)。『火花』も『劇場』も震災を挟まない。挟んだら考え方が変わるから。
  • 小説で大事なのは、この時期にこの状況で書いたということ。聖書とは違う。

エンディングで、「影響を受けやすいから、色んな作品に触れて感傷的になったり攻撃的になったりするけど、『人間失格』を読むとゼロになれる。太宰は尊敬とか憧れとかではなく、同じ、横なんです」というようなことを言っていた。

また、『人間失格』はいったん卒業しよう、みたいなことも言っていた。今年の太宰ナイトはどんなテーマだろうか。

私にとっては、『人間失格』だけでなく、本を読むことの楽しさを知れた貴重な最高の時間だった太宰ナイト2018。今年もとても楽しみだ。

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