chie’s blog

ピース又吉直樹さん関連のライブ・本・ラジオ・テレビ等のことについて、好き勝手に書いています。

又吉直樹×武田砂鉄『往復書簡 無目的な思索の応答』刊行記念トーク(感想)

又吉直樹さんと武田砂鉄さんの共著『往復書簡 無目的な思索の応答』の刊行記念トークが5月17日に新宿紀伊國屋ホールにて行われた。

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タイトル通り、無目的なトークが終始淡々と続いたが、笑いどころが満載だった。私は武田砂鉄さんのことは殆ど知らなかったのだけど、とても面白い人だった。文章が面白い人は喋っても面白いんだなと当たり前かもしれないことを思った。

武田さんは、前のイベントに来てたお客さんがみんな又吉さんを二度見するのが面白かったらしく、「二度見されるのには慣れました?」と質問。又吉さんは、「テレビに出る前から割と二度見されることが多かった」と。一度では処理し切れないんですかね、と話されていて面白かった。昔は見たことのある芸能人というのはコレクションみたいなもので自慢し合っていたというような話から、綾部さんは「宮本亜門のウォーキング」を見たとよく言っていて、それすごいなという話をよくしていたそう。

本書にもあるお二人の出会いの話から、又吉さんは武田さんの他にも、突然直接メールを送ったことが2,3度あるらしい。そしてやはり偽物だと疑われるらしい。「この人のこれ違うなーと思った時に、別の場所で意見(議論?)するのは違うと思うから、直接本人に、こういうこと言ってましたけど、おかしくないですか?みたいなことを送る」というような話をしていて、そういう(指摘するような)メールも送るのか!と驚いた。

武田さんは自分の身長を低く見積もってしまうところがあるらしく、大林素子さんと同じ身長だということを常に頭に入れて過ごすようにしているという話から、又吉さん「精神身長ってあると思うんですよね」と。「僕も、164,5㎝なんですけど、精神身長は174㎝なので、サッカーの時とか、174㎝くらいの奴には勝てると思っていく」みたいな話が面白かった。精神年齢ならぬ「精神身長」。使いたくなる。

又吉さんは昔、古本屋でたまたま「人とうまく話せる方法」みたいな本を見つけて、こんな本あるんや!よっしゃ!と思い手に取ると、最初のページに「まずは自分に自信を持とう」みたいなことが書かれていて、「いやいやそれが出来ないから読んでんねん」と。この話はどこかで聞いたことがあるがどこか思い出せず。しかしそういう本をたくさん読む人も居て、そういう人は「おまもりとして読んでるんじゃないか」という又吉さんの言葉が印象的だった。

又吉さんが最近一番聴いている曲は、Gillian Welchの「I Dream A Highway」という約14分の曲。去年のタイプライターズでもこの曲の話をしていて、執筆中は基本的に音楽は聴かないけれど、外でどうしても書かなければならない時は、この曲だけを繰り返し聴くらしい(2018/10/13放送のタイプライターズより)。

又吉さんがうまい棒で一番好きなのはめんたい味。武田さん「袋の裏舐めますか?」「舐めます舐めます」「たまに舌切れそうな時ありますよね」みたいな会話に笑った。うまい棒が大好きすぎる又吉さんの後輩は、うまい棒の会社に「美味すぎるんですけど」という電話をかけて会社の方を困らせたことがあるらしい。武田さんによると、全てのうまい棒に使っている特性のタレがあり、たこやき味だけはタレを2度漬けしているとのこと。だからコーティングがしっかりしてるのかとか、周りの粉が落ちないとか細かい話も面白かった。コンソメパンチは寿司に匹敵する美味さというようなことも又吉さんが言っていた。

サッカーの時だけは又吉さんも「ハリー!」とか言うそうで、聞いてみたいと思った。得点を入れた時に喜ぶなと言われたら、無理。「下手したら死ぬ奴おるんちゃうか」というのも笑った。

又吉さんは22,3歳くらいまで「俺は本当は明るい」と思っていたそう。小4くらいから明るさを出さないようにしてきて、22,3歳の時に、明るさを出そう決め、明るく過ごしてみたら誰にも気付かれなかったらしく、「俺の明るい(のレベル)は、みんなの明るいじゃなかった」みたいなことを言っていた。

本書にもあるけれど、「今日、調子いいね」という言葉が嫌いとはっきり言っていた。逆に言われたら嬉しい言葉は「アホやなあ」。何をやってもいいって言われているような気分になるそう。別冊カドカワに掲載されているエッセイ「僕の好きな女の子」の最後にもこの言葉が出てくる。そういえば来年の映画公開楽しみですね。

頭の中で喋っていることが多いという話も面白かった。武田さんは「今も半分くらい他のことを考えてる」と言っていて、たしかに人と話している時の頭の中の状態として真実に近いと思った。又吉さんがオードリーの若林さんに「若林さんの本面白かったです」と伝えると、若林さんに「驚いたんだけど、心の中でこんなに喋るんですねって言われるんだよね」と言われて又吉さんも驚いたのだそう。頭の中で話さない人も居るのだと。又吉さんの著書『夜を乗り越える』の中で、又吉さんが中学生の頃芥川龍之介『トロッコ』に出会ったときの話を思い出した。「この主人公、めっちゃ頭の中でしゃべっている。俺と一緒ぐらいしゃべっている」と思ったという。

終盤で、お二人はもう会うことはないかもしれないというようなことを話されていたけど、ずっとお二人のトークを聴いていたいと思った。

下記に本の購入リンク載せてますが、紀伊國屋新宿本店ではサイン本も販売中だそうです。

 

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